L O A D I N G . . .
- BLUNDSTONE FOOT WORK
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いつでも原点にある、 好きを証明していく働き方
name / occupation
02_島津 冬樹/CARTON PICKER
01_しまづ・ふゆき|1987年生まれ。多摩美術大学卒業後、広告代理店を経てアーティストへ。捨てられたダンボールから実用品を作り出すその稀有な活動がさまざまなメディアで取り上げられている。活動を追ったドキュメンタリー映画『旅するダンボール』や、著書『段ボールはたからもの 偶然のアップサイクル』『段ボール財布の作り方』がある。
https://www.instagram.com/carton_wallet/name / occupation
02_島津 冬樹/CARTON PICKER
01_しまづ・ふゆき|1987年生まれ。多摩美術大学卒業後、広告代理店を経てアーティストへ。捨てられたダンボールから実用品を作り出すその稀有な活動がさまざまなメディアで取り上げられている。活動を追ったドキュメンタリー映画『旅するダンボール』や、著書『段ボールはたからもの 偶然のアップサイクル』『段ボール財布の作り方』がある。
https://www.instagram.com/carton_wallet/
繰り返すことで見える
新たな景色
小さい頃の夢は貝博士。貝をみつけては、コレクションして大切に保管していたという島津冬樹さん。収集という点でみると共通しているそのスタイルで今は、世界中のダンボールを拾い集めて財布やカバンを作る「CARTON PICKER」という肩書きで活動をしている。世田谷にある彼のアトリエを訪ねると、大陸ごとに分類されたダンボールが吊るされ、作品のように飾られていた。
「もともとダンボールが好きというよりは、財布が壊れてしまい、なんとなく家にあったダンボールで財布を作ってみたのがきっかけ。それが使えると思ってフリマに出して、また財布を作るためにダンボールを集めてを繰り返してを14年続けています。美大に通っていた時は、1日1作品作ることを自分に課していたくらい、とにかく作ることに夢中でした。始めた時からなにも変わらず続けているのが自分でも不思議だけれど、仕事をしている感覚じゃないことが性に合っているんです」
ひょんなことから始まった財布作り。国内外で拾い続けてきたダンボールへの興味は、次第にデザインだけでなく素材の質感や希少さ、その国の背景など、奥深さを探究することで価値や魅力に気付いていったという。
拾うことが職業
世界を旅してきた島津さんにとってダンボールは、その国の文化を知れる情報源でもある。主に食文化との関わりが深いらしく、アメリカやオーストラリアなど、農耕が盛んな土地ではダンボールの種類も豊かだという。風合い漂うダンボールの底の擦れ、破けた跡、かすれた文字は、多くの人 の手を介してやってきた証。その土地に根付いた文化と関わった人の空気感を一緒に拾うことが、 “ダンボール拾いのルール”なのだ。
捨てられてしまうダンボールに寄り添い、付加価値を与え続けてきた島津さん。そこにある奥深さに
気づけることが、働くことの豊かさなのかもしれない。
「いまはデジタルな時代なので、手を動かすことが減っているようにも思います。ネットで検索すれば答えは出るし、手を汚さずとも100円払えばいくらでも財布なんて手に入る。でも得意・不得意は関係なく、ボタンをつけたり、型を抜いたりする非日常的な行程や、完成した瞬間の喜びをあじわってほしい。そして“自分で作って使う”ことの心地よさを知って欲しいんです」
島津さんの活動は、アトリエで行われるワークショップの他に、大学で非常勤講師を勤めている。現在は、SNSで作り方を広めていくことにも力を入れているというが、時代の流れやトレンドを読むことも好きなことを続けていくコツだという。
「広める活動ももちろんですが、ただ技術を見せたりするだけではなく、そこから感じる背景や物語を伝えたい。経験してきたからこそですが、コロナ禍で立ち止まったあの時、個展を開いたり一方的に販売することにあまり興味がなくなってしまったんです。誰もが作れてそれがその人の生きるヒントになったりすること。そんな時間を共有することが、何よりやりたかったことだったと」
最近のワークショップでは、いかにボンドを使わずに作れるかにハマっているらしく、奇をてらいすぎず誰もが楽しめるようにハードルを下げた試みも実践しているという。
道筋が見える安心より
枝分かれを楽しむ日々がいい
“実は働いている感覚がない”と話す島津さん。会社員を経たからこそ感じられる、意義ある自由を噛み締めている。
「ダンボールが好きなだけで、どうやって生きていけるんだろう?と、今でも思っています。(笑) 仕事をしているという感覚もあまり好きじゃないんですが、ダンボールの出合いは一期一会、かつハプニング性があるものだから、枝分かれした先の見えないその感覚で自由な表現をしていきたいです」
そんな島津さんでもジレンマはあるというが、肩書きにとらわれることなく好きなことを純粋に極め、証明していくのがCARTON PICKERとしてのサブテーマでもある。
アトリエを見渡すと、日本ではあまり見かけないアイテムが置かれている。制作する上でダンボールを切るナイフや、ゴミ箱、ベコベコになったキャリーケースひとつとっても、モチベーションをあげてくれる大切なアイテムだという。環境に適したタフなものが島津さんを支えてくれているのだ。
今回履いてもらった ALL-TERRAIN THERMALは、ソールメーカー Vibram 社との共同開発から生まれたシリーズ。インソールにはあたたかなボアタイプのシープスキンを採用し、アッパーレザーの内側には、薄くて軽量な断熱素材「シンサレート」を使用。除湿性を維持しつつ保湿性・防寒性に優れ、とにかく暖かい。 そして軽量感もそのまま。現代で働く人に寄り添いながらも、Blundstoneのアイデンティティが現された一足。
「ダンボール拾いでもあるけれど、旅を楽しむことも大切。いつも乗っている自転車を海外で乗ると格別な気持ちよさを感じられるし、ギアも荷物もその場所に適したものを持っていきたい。靴なんかは特にそんなに丁寧に履いているものでもないというか。僻地に行くこともあるので、このくらい軽くて、雨でも気にせずガシガシ履けるものが好きですね。今まさに気になっている国が、世界最北端のノルウェーの寒冷地なんですが、安心できるアイテムがあると早く拾いに行きたくなります」
喜びと驚きには
幸せがひと括り
働くということに、諦めや挫折は誰にでも当てはまることだろう。しかしよく言われる、好きなだけでは続かないというのは、島津さんにとって存在しない世界。 ダンボールが新たに生まれ 変わるその物語と、純粋に向き合えてきたのはどんな状況下でもダンボールが好きという原点があるからなのだ。
「はじめた当時はワークショップなんて誰も来なかったし、財布が売れたわけでもないです。諦めないで頑張ってきたというより、ただダンボールを好きでいることがいつか認められるだろうと、根拠のない自信がありました。だからやめちゃうということは好きじゃないと同じなんです。もちろん体力はいることですが」
そうこうしている間に、作業が進む。ダンボールを選び、型を抜き、折り込んでいくその手は、ダンボールが吸い込まれているように見えるほどしなやかで、流れる速さで完成していった。
CARTON PICKERには物語がある。ダンボールや人も、その場所に行かなければ見えない情景がある。その足跡が積み重なったそこで働く人たちの想いが、島津さんの支えとなっているのかもしれない。
「こういう生き方、働き方もあることが結果的に何かに繋がればいい。アーティストとして継承するというよりも、好きなことがいかに時代の流れとも相乗できるかそんなことを考えたり、教えたりする日々です」
最後に、自分にとって喜びを感じることは何かを尋ねると、“こうやってダンボールを眺められていることが幸せ”と返答があった。
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ブランドストーンを通して「働く」ということに向き合う考え方やマインドを発信
150年前から様々な働く人の足元も支えてきたブランドストーン。現代社会において、働き方は多様になり個人の価値観も様々です。そこで改めて働くというキーワードから見えてくる仕事の魅力や楽しさを、ブランドストーンと共に出演者の仕事を支えているものが何なのか探っていきます。